お知らせ

「京都で感じる化学の風」開催報告

2019年10月23日


国際化学オリンピック日本大会実行委員会主催の「京都で感じる化学の風」が19日(土)、京都大学北部の益川ホール(北部総合教育研究棟)で行われました。中学生、高校生を中心に約100名が参加、貴重で楽しい化学の講演、分析機器の体験などで、秋の午後を化学で目いっぱい楽しみました。

「京都で感じる化学の風」は2021年に近畿大学で開催される国際化学オリンピック日本大会の広報活動の一環として、「化学の日」(10月23日)を含む「化学週間」の一日に開催されたもので、国際化学オリンピック日本大会実行委員会、日本化学会、京都大学大学院理学研究科、京都大学大学院工学研究科、日本分析機器工業会が協力して行われました。

【講演】

 講演会では国際化学オリンピック日本委員会理事長、組織委員長で、「一家に1枚周期表」を作った玉尾皓平先生(豊田理化学研究所長・京都大学名誉教授)が、「化学の日」の由来となったアボガドロ定数(1molの物質中に存在する粒子の数=6.02×10の23乗)がどれだけ大きい数字なのかをクイズを交えながら示し、化学の基本を面白く紹介したほか、今年2019年の国際周期表年の話題、元素周期表にある主要な元素について楽しく、面白く説明した。
 また元素言葉遊びではOMoTeNaSi(おもてなし)、GaNBaRhO(がんばろう)、GaNBaRe NiPPoN(がんばれニッポン)など元素でできる言葉をいっぱい披露し、会場は驚きと笑いで盛り上がり、「化学をもっともっと楽しもう」と締めくくった。

 続いて世界最先端の高性能ペロブスカイト太陽電池の研究者である若宮淳志先生(京都大学化学研究所教授)はプロサッカー選手を目指していた高校生が研究者になろうと決心したのは「雑誌ニュートンで色と光の波長を知ったことだった。それまで成績で負けたくないという想いで勉強していたのが、研究者の夢を持ったことで、勉強のモチベーションが将来の目的のために勉強するということに変わり、一所懸命取り組んだ。そして社会に役に立ちたいと化学に進んだ」と経験談。
 さらに有機エレクトロニクスの有用性、塗布できる高性能ペロブスカイト太陽電池の開発を分かりやすく話し、「化学の発見は観察と好奇心。皆さんも将来、化学者、科学者となり、人類に貢献して欲しい」とメッセージを送った。

 トークセッションでは京都大学大学院理学研究科博士課程の齊藤颯さん(2010年日本大会金メダル、2011年トルコ大会銀メダル)、山角拓也さん(2012年 米国大会金メダル)の二人のメダリストがオリンピック代表になるまで、国際大会での出来事、大学での研究室生活などについて話し、「今ここにいる皆さんの数年後の姿かもしれない」と化学への進路を誘った。

【分析機器実験体験と演示】

◇島津ぶんせき体験スクール 〜これは何から出来ている︖〜 島津製作所

エネルギー分散型蛍光X 線分析装置を使って、身近なものに含まれる元素組成を分析体験した。蛍光X 線分析装置・原理を紹介し、小判や五円玉、卵の殻の元素組成を中・高校生が予測し、実際に測定した。説明者と司会の絶妙なやりとりで、楽しく物質がどのような元素でできているかを知ることができた。

◇電子顕微鏡でミクロの世界を探検しよう! 日本電子

卓上走査電子顕微鏡を使って動・植物などの試料を観察する。画面に表示される肉眼や光学顕微鏡でもみえないミクロの世界を食い入るように見つめ、質問を浴びせていた。

◇はかることからすべてがはじまる 堀場製作所

社是の「おもしろ おかしく」を基本にやりがいのある仕事を訴え、新素材・新エネルギーから自動車、医療、環境などあらゆる分析評価、研究開発は“はかること”から始まり、イノベーションがあることを説明、小型pH計や携帯型放射線モニターなども展示していた。

◇安全・安心な社会作りに役立っています~ 光明理化学工業

ガス検知管水質の検知に使われる管携帯型酸素測定器を展示、社会の安全に寄与していることを強調した。また分析化学で用いられる捕集管類についても紹介した。

【ポスター展示】

〇日本人ノーベル賞受賞者パネル
〇国際化学オリンピック日本大会ポスターと2019年パリ大会の問題と解説
〇一家に1枚周期表
〇一家に一枚水素ポスター
〇理研ニホニウムポスター
〇豊田理化学研究所 海外大学院進学支援制度

【スモールプレゼント】

  • 国際化学オリンピック日本大会クリアファイル
  • 一家に1枚周期表
  • 一家に1枚水素(京都大学提供)
  • 京都大学理学研究科・理学部クリアファイル(京都大学提供)
  • 元素周期表クリアファイル(日本化学会提供)
  • 化学の日缶バッジ(日本化学会提供)
  • 漫画「113 ニホニウム発見に挑み続けた研究者たち」(理化学研究所提供)
以上