お知らせ

国際化学オリンピック日本委員会が共催
「東大で過ごす化学な週末」

2019年10月29日


 日本化学会関東支部、東京大学大学院理学系研究科、同工学系研究科が主催、国際化学オリンピック日本委員会が共催して「君たちの将来と化学の未来ー東大で過ごす化学な週末」が26日(土)、東京大学小柴ホールで行われた。当日は中学生、高校生を中心に約150名が出席、最先端の化学、新しい元素ニオニウムの開発などの講演を熱心に聴講した。

 「君たちの将来と化学の未来ー東大で過ごす化学な週末」は10月23日の「化学の日」(アボガドロ定数=1molの物質中に存在する粒子の数=6.02×10の23乗に由来)の一環として開催されている。

 はじめに小倉賢日本化学会関東支部長(東京大学生産技術研究所教授)が主催者を代表して挨拶したあと、講演会に移った。

 北森武彦東京大学工学系研究科教授が「科学者のお仕事」の題で基調講演し、ナノ流体デバイスなど最先端の研究成果を例に、科学者の仕事は「わからないことをかわるようにする」「できないことをできるようにする」ことによって、環境やエネルギー、医療、食糧、平和など社会に貢献することだと説明した。さらに論文を書き、学会で発表するなど研究の意義と価値を分かってもらうことも重要な仕事であると強調した。そのうえで「科学者って、素晴らしく、楽しい仕事。大学入試はゴールではなく、君たちのスタートだ」とメッセージを送った。

 続いて原子番号113のニホニウムを開発した理化学研究所の羽場宏光仁科加速器科学研究センターRI応用研究開発室長が「新元素を探そう!」のテーマで原子と元素、新しい元素発見の歴史をやさしく解説した。新元素ニホニウム開発への挑戦と苦難の開発経緯、開発の喜びなどが語られ、さらに現在、原子番号96のキュリウムと23番のバナジウムで新元素119発見という新しい挑戦について熱く語った。

 国際化学オリンピック日本委員会からは西原寛組織委員会副委員長(東京大学理学系研究科教授)が「国際化学オリンピックに挑戦しよう」と第53回国際化学オリンピックが2021年7月に近畿大学で開催することを明らかにし、第51回国際化学オリンピックパリ大会の様子や国際化学オリンピックの日本代表になるにはなにをすべきかなど国際化学オリンピックに参加を呼び掛けた。

 トークイベント「その後の未来、働くこと、目指すもの」では東京大学を卒業した渡部英司氏(三井化学研究開発本部研究企画管理部主席部員)、鈴木健吾(ユーグレナ執行役員)、第39回国際化学オリンピックモスクワ大会の銅メダリストの廣井卓思東京大学理学系研究科助教の3名が登壇、東京大学での研究課題と目標、その後の進路選択、現在の仕事と今後も目標などについて意見交換が行われた。

 また講演会場前のピロティでは国際化学オリンピック日本委員会、広報小委員会が国際化学オリンピックやパリ大会の問題ポイント解説、元素周期表などのポスター、日本人ノーベル賞受賞者パネルが掲示した。参加者は講演前後や休憩時間にポスター前で話題になっていた。